重症心身障害児の訪問看護とは?利用方法・費用・選び方

デイサービス

退院後、家族だけで医療的なケアが必要な我が子をみていけるだろうか。
「吸引や胃ろうの管理を家族だけで続けられるだろうか」
「夜中に何かあったらどうしよう」
「困ったとき、誰に相談すればいいんだろう」

このように、退院後の生活を考えると、さまざまな不安が出てくることは当然です。
そうしたご家族の心強い支えの一つが、訪問看護です。
看護師が自宅を訪問し、吸引や胃ろうなどの医療的なケアをサポートするだけでなく、日々の生活の中で感じる不安や困りごとについても相談できます。
一方で、「どうすれば利用できるの?」「費用はどれくらい?」「どんな訪問看護を選べばいい?」と、利用する前にわからないことも多いですよね。

この記事では、重症心身障害児の訪問看護について、どのような支援を受けられるのか、利用までの流れや費用、事業所を選ぶときのポイントを、できるだけわかりやすくご紹介します。
大阪府で訪問看護を探している方はぜひ参考にしてみてください。

監修者:坂東 知子(ばんどう ともこ)

経歴
大阪急性期総合医療センター 救急病棟にて12年勤務。
実績
令和2年に「こどもデイサービスさくら」を設立。
現在は3事業所を運営し、これまでに50名以上の医療的ケア児・重症心身障害児の支援に携わる。
資格・専門
看護師・保育士
専門分野
・医療的ケア児支援
・重症心身障害児支援
・在宅医療・在宅ケア
・小児看護

重症心身障害児の訪問看護とは

参照:photoAC

訪問看護とは、医師の指示に基づいて看護師が自宅を訪問し、必要な医療的ケアや健康管理、生活支援を行うサービスです。

病院や施設に通うのではなく、看護師が自宅に来てくれるため、移動が難しい重症心身障害児や保護者にとって大きな助けとなります。

単に医療処置を行うだけでなく、お子さんの成長発達を見守り、ご家族の不安に寄り添いながら、在宅生活全体を支える役割を担っています。

訪問看護で受けられるケアの内容

参照:photoAC

医療的ケアの実施

重症心身障害児の在宅生活では、生命維持に直結する医療的ケアが日常的に必要です。
訪問看護では、以下のようなケアを看護師が安全に行います。

・痰の吸引(口腔・鼻腔・気管内)
・経管栄養(経鼻胃管・胃ろう)の管理
・人工呼吸器や在宅酸素療法の管理
・導尿、人工肛門(ストマ)の管理

医療機器のトラブルや体調の急変があった場合の対応も含まれており、ご家族だけでは判断に迷う場面でも、専門知識を持つ看護師が相談にのってくれます。

日常生活の支援・介助

医療的ケアだけでなく、入浴介助・清潔保持・食事介助・体位変換・移動の介助など、日々の生活面のサポートも行います。

重症心身障害児は姿勢の保持が難しく、体位変換やポジショニングひとつにも専門的な視点が必要になるため、看護師が関わることで安全性が高まります。

家族への指導・相談対応

吸引や経管栄養などの手技を、ご家族が安全に行えるよう丁寧に指導します。

「症状が出たときに受診すべきか、様子を見ていいのか」といった判断基準についても相談に応じてくれるため、緊急時にも落ち着いて対応できるかもしれません。

長期間ご家族だけでケアを担ってきたご家庭では、外部サービスへの不安を感じることもありますが、看護師との信頼関係を築くことで、在宅生活での安心感が生まれます。

専門職によるリハビリテーション

遊びや日常の関わりを通じた心身のサポートも、訪問看護の重要な役割です。

必要に応じて、訪問看護ステーションに在籍する理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)が訪問し、適切な姿勢づくり(ポジショニング)や感覚への働きかけ、コミュニケーション支援などを行います。

家族支援・レスパイト(息抜き)のサポート

ご家族自身の生活の維持や休息(レスパイト)のために訪問看護を活用することも可能です。
訪問時間中に看護師がお子さんのケアをしっかりと担うことで、ご家族が通院や買い物、きょうだいの学校行事への参加といった時間を確保しやすくなります。
※医療保険の訪問看護は「託児」目的のみでの利用は原則できません。

目的や「留守番看護」への対応可否については、事前にステーションへご確認ください。

訪問看護の利用方法

参照:photoAC

利用までの流れ

STEP 1|かかりつけの医師(主治医)・相談支援専門員に相談する

まずは、かかりつけの医師(主治医)や相談支援専門員に訪問看護の利用について相談します。
訪問看護を利用するには、医師が発行する「訪問看護指示書」が必要です。

STEP 2|訪問看護ステーションに相談・事前面談

利用したい訪問看護ステーションに連絡し、お子さんの状態や家庭の状況を伝えます。
自宅や病院で事前面談を行い、必要なケアの内容や訪問頻度を確認します。

STEP 3|訪問看護指示書の発行・契約

かかりつけの医師(主治医)から訪問看護指示書が発行されたら、訪問看護ステーションと契約を結びます。
ご家庭の状況に合わせて訪問計画が作成されます。

STEP 4|訪問開始

看護師が定期的に自宅を訪問し、ケアを開始します。
体調の変化や生活上の不安にも随時対応しながら、継続的にサポートが行われます。

退院前から相談できる

入院中のお子さんが在宅へ移行する場合は、退院前のカンファレンスから訪問看護ステーションが関わることもあります。
退院後すぐに必要となる医療ケアや生活環境を整えるため、できるだけ早い段階で相談を始めることをおすすめします。

「自宅に人が入ること」に抵抗があるご家族へ

参照:photoAC

訪問看護の利用を考えたとき、「家に他人が入ってくることに、正直抵抗がある」と感じる方は少なくありません。
「散らかっている部屋を見られたくない」
「子どものケアは私がいちばんわかっている」
「知らない人が家にいると、気が休まらない」

こうした気持ちは、ごく自然なものです。
はじめから抵抗なく受け入れられる方のほうが、むしろ少ないかもしれません。

少しずつ、信頼関係を築いていけば大丈夫

多くのご家族は、最初は緊張しながら訪問看護を始めています。
最初の訪問では、お子さんの様子やご家族の思いをお話しするだけでも十分です。
ご家族が近くにいながら、看護師のケアの様子を見守る形で始めることもできます。
何度か顔を合わせるうちに、「この人ならお願いできそう」と思える場面が少しずつ増えていきます。
慣れるまでの時間は、ご家族ごとに違って構いません。

家をきれいにしておく必要はありません

「訪問の前に掃除をしなきゃ」と気負う必要はありません。
訪問看護は、ご家族の負担を減らし、医療的なケアを担い、いつでも相談できる相手になるためのサービスです。
生活の場に入る看護師は、お子さんとの暮らしが「ありのまま」であることを理解しています。
ご家族を評価しに来るわけではありません。

外出するとき、留守を任せることへの不安

「自分が家を空けている間、子どもを任せて大丈夫だろうか」という不安もよく聞かれます。
最初は、ご家族が在宅している状態で、短い時間から始める方法があります。
看護師のケアの様子を見て、「この人なら任せられる」と感じてから、少しずつ外出の時間を延ばしていく方も多いようです。
(※留守番看護の可否は事業所によって異なりますので、事前にご確認ください)

迷っている方は、まず「話を聞いてもらうだけ」の気持ちで、事前面談を利用してみてください。
合わないと感じたら、別の事業所を探すこともできます。

訪問看護の費用|医療保険が適用される

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重症心身障害児の訪問看護は、原則として医療保険が適用されます。

費用の負担は、利用しているお子さんの医療証の種類によって異なります。

・小児慢性特定疾病医療受給者証
・子どもの医療費助成
・重度障がい者医療費助成制度(大阪府)

これらの医療証を併用することで、自己負担額が月ごとに設定された上限額の範囲に収まる仕組みになっています。
実際の自己負担は、0円から数百〜数千円程度に収まるケースが多く見られますが、世帯の所得や利用している助成制度によって変わるため、正確な金額は各事業所や自治体の窓口に確認することが大切です。

医療的ケアの内容によっては「乳幼児加算」や「長時間訪問看護加算」など、事業所側が算定する加算もありますが、これらは事業所の収益に関わるものであり、利用者の自己負担額そのものを大きく左右するものではありません。

気になる場合は契約時に事業所へ確認しておくと安心です。

訪問看護ステーションを選ぶときのポイント

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小児・医療的ケア児への対応経験があるか

訪問看護ステーションの中でも、小児への訪問実績があるステーションは全体の3割前後とされており、決して多くはありません。
重症心身障害児や医療依存度の高いお子さんを診た経験があるかどうかは、契約前に率直に聞いてしまってかまいません。
問い合わせの際には、「重症心身障害児者認定看護師」や「小児看護の経験が豊富な看護師」が在籍しているか、気管切開・人工呼吸器・胃ろうなど具体的なケアへの対応実績があるかを聞いてみるとよいでしょう。

緊急時の対応体制

体調の急変はいつ起こるかわかりません。
事前に24時間の電話相談・緊急訪問体制が整っているか、夜間や休日の対応方針についてなど、確認してみてください。
特に人工呼吸器を使用しているお子さんの場合、停電や災害時の対応(非常用電源の備えなど)まで確認できると、より安心です。

訪問可能な時間帯・エリア

事業所によって対応時間帯(早朝・夜間対応の有無)や訪問エリアが異なります。

すでに利用している訪問看護があり、早朝・夜間だけ別の事業所に依頼したいといった「2か所目」としての利用ができるかどうかも、確認しておくと良いポイントです。

多職種・関係機関との連携体制

かかりつけの医師(主治医)・学校・相談支援事業所・放課後等デイサービスなど、関係機関との連携がスムーズに行われているかも大切です。

情報共有がしっかりしている事業所であれば、お子さんが複数の場所で過ごす際にも、ケアの方針が統一されやすくなります。

家族の気持ちに寄り添ってくれるか

医療的なケアの質はもちろん重要ですが、長期にわたって関わる存在であるからこそ、ご家族の不安や悩みに寄り添う姿勢があるかどうかも大切な選び方の視点です。
事前面談の際の対応や説明のわかりやすさから、自分たちに合う事業所かどうか判断してみてください。

放課後等デイサービスとの連携で広がる支援の輪

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訪問看護は在宅でのケアを支える存在ですが、放課後等デイサービスを併用することで、お子さんの生活の場をさらに広げることができます。

訪問看護の看護師が把握している医療的ケアの情報(吸引のタイミング、栄養注入のスケジュール、体調の変化のパターンなど)をデイサービスと共有することで、外出先や通所先でも同じ水準のケアを受けられるようになります。

また、訪問看護は「相談支援事業所などの社会資源の提案」も行っているため、デイサービスの利用を検討している場合は、訪問看護師に相談してみるのも一つの方法です。

複数の支援者がチームとしてお子さんとご家族を支える体制をつくることが、安定した在宅生活の土台になります。

まとめ

参照:photoAC

重症心身障害児の訪問看護は、医療的なケアを安全に提供するだけでなく、ご家族の不安に寄り添い、在宅生活全体を支える重要なサービスです。
訪問看護とデイサービスをはじめとした複数の支援を組み合わせることで、お子さんとご家族が安心して過ごせる環境づくりにつながります。

まずは身近な相談窓口に、気軽に問い合わせてみてください。

参考文献

厚生労働省「訪問看護のしくみ」 https://www.mhlw.go.jp/

公益社団法人岐阜県看護協会「医療的ケアを必要とする子どもの在宅看護マニュアル(第2版)」令和3年3月発行https://www.pref.gifu.lg.jp/page/78835.html

こども家庭庁「医療的ケア児等とその家族に対する支援施策」 https://www.cfa.go.jp/policies/shougaijishien/care-ji-shien/

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